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花組 大劇場公演


ミュージカル・アラベスク「タンゴ・アルゼンチーノ」

原作イバニエス(「黙示録の四騎士」)
脚本・演出小池修一郎
作曲・編曲吉田優子, 甲斐正人
振付大谷盛雄, 麻咲梨乃, 御織ゆみ乃
装置大橋泰弘
衣装有村淳
照明勝柴次朗
音響加門清邦
制作木村康久

「黙示録の四騎士」を元にして、恋のアラベスクを描く作品。

舞台は第一次世界大戦前のパリ。祖父の遺産を手にしたアルゼンチンの 大牧場主の孫フリオ(愛華みれ)はパリに行き、タンゴをパリに広め、社交界の 人気者となる。そんなある日美しい人妻マルグリート(大鳥れい)と恋に落ちる…。

多くのダンサーを擁する花組のアルゼンチン・タンゴが見ものである。


グランド・レビュー「ザ・レビュー '99」

(構成・演出 岡田敬二)

1977年(昭和52年)に「モン・パリ」50周年を記念して上演され、 芸術祭優秀賞を獲得した作品。宙組からの続演となる。 「夢人」が有名なシーンであるが、花組の実力を見せつけたアトランティック・ オーシャン、男役の迫力を感じさせる間奏曲は宙組よりも見応えがある。

中日劇場公演では「ザ・レビューIV」と名前を変えて上演される。

構成・演出岡田敬二
作曲・編曲吉崎憲治, 高橋城, 寺田瀧雄, 甲斐正人
作曲エリック・ウールフソン
編曲宮原透
振付羽山紀代美, 大谷盛雄, 室町あかね, 御織ゆみ乃, 若央りさ, 司このみ
装置大橋泰弘
衣装任田幾英
照明勝柴次朗
音響加門清邦
制作木場健之

主な配役(宝塚大劇場, 1000days劇場)

「タンゴ・アルゼンチーノ」主要配役
役 名 本公演配役 新人公演配役
フリオ 愛華 みれ 水  夏希
マルグリット 大鳥 れい彩乃かなみ
カール 匠 ひびき彩吹 真央
ピエール 星原美沙緒風緒いぶき
ミシア 渚  あき舞風 りら
ジャン伊織 直加蘭寿 とむ
ロベール 磯野 千尋柾輝かずさ
ワイラー 麻園 みき武庫  歩
シャリエ 大伴れいか鮎川なつき
アントニオ 矢吹  翔悠真  倫
セルゲイ 楓  沙樹花央 レミ
マイク 春野寿美礼壮  一帆
ビル 眉月  凰未宙 星沙
マルチェロ 瀬奈じゅん未涼 亜希
オットー 水  夏希愛音 羽麗
アンリ 貴月あゆむさき 望実
マドレーヌ 幸美 杏奈絵莉 千晶
ルネ 彩乃かなみ仙堂 花歩
イルマ 鈴懸三由岐早瀬  鮎
ビビ 百花 沙里ふづき美世
マリー 舞風 りら舞城のどか
サラ ふづき美世隼 颯希
ミレイユ 彩風  蘭黒澤だりあ
アンヌ 貴柳みどり沢樹くるみ
エリーズ一原 けい香乃 毬花
テレーズ 町風 佳奈夢路ほのか
ドゥニーズ 翔 つかさ奈月 みか

中日劇場公演の出演者

専科: 星原美沙緒

花組:
磯野 千尋, 一原 けい, 町風 佳奈, 愛華 みれ, 矢吹  翔,
匠 ひびき, 大伴れいか, 渚  あき, 二葉かれん, 貴月あゆむ,
伊織 直加, 美苑えりか, 楓  沙樹, 沙加美 怜, 鈴懸三由岐,
眉月  凰, 歌花 由美, 水  夏希, 絵莉 千晶, 大鳥 れい,
鮎川なつき, 柾輝かずさ, 香乃 毬花, 真竹すぐる, 早瀬  鮎,
舞風 りら, ふづき美世, 花央 レミ, 蘭寿 とむ, 彩風  蘭,
未宙 星沙, 彩乃かなみ, 愛音 羽麗, 紫万  新, 蓮城 ルナ,
仙堂 花歩, 未涼 亜希, 舞城のどか, 桐生園加


ref: 宝塚歌劇団の公式ページ「タンゴ・アルゼンチーノ」「ザ・レビュー'99」の公演案内


宝塚大劇場公演を観ての感想

「タンゴ・アルゼンチーノ」まじめ編

タイトルからしてバリバリにタンゴを踊ってくれるに違いないと期待して いたので、ちょっと肩透かしを食らった気分。「これからはチャールストン よ」とラストでいきなり言われても「はい、そうですか」というわけにも いかないし、せっかくの題名が泣いていますね(タンゴという点では 「ブエノスアイレスの風」は見事でした)。

主役3人はかなりしっかりと書き込みがされていて、芸術家とその周辺の 人々についても見せ場があり、ラストの2人だけのタンゴもよいだけに、 軽いノリでチャールストンを出されても違和感を感じる。1つ前のシーンで 思い人を戦争で亡くして悲しむ女性、悲しみを心に秘めて頑張って行こうと する人たちを描いているのに、フリオを思い続けるマルグリットとの対比の ためだけに作った設定なのだろうか?

物語の進行自体も中盤はスローな展開で眠気を誘い、終盤は戦争で あっさり片づけ過ぎる。また、登場人物の性格から言って、話はこう 進むんだろうなと予定調和的に進むので、面白みが足りない。でも、 3人がカーテン(?)前から銀橋に並ぶような視覚的な人物配置は見事だし、 ガウチョ姿のフリオの登場、鞭の使い方、フリオが芸術家たちにタンゴを 教えるくだりの面白さ、は演出のうまさによるもの。3人の書き込みの 深さに加えて、幽霊船やタンゴ・ノアールのシーンで中堅・若手にも 見せ場を作っているのはさすが座付き作家と言える。

出演者について
愛華みれ/フリオ
ガウチョ姿での登場、鞭をワイラー(麻園みき)に巻きつかせる手際の よさ、「マダム!」とマルグリット(大鳥れい)をダンスに誘うかっこ よさ、とこれ以上ないほどの見事な登場を見せ、観客を自分に引きつけて いる。強引な性格かと思うとそうではなく、自分の心に正直に生きている だけということが次のシーン(自分の書いた絵を見せるくだり)でよく わかる。誘惑ではなくマルグリットを心から愛しているとカール(匠 ひびき)に面と向かって言い放ち、マルグリットが悲しむからとカールを 撃ち殺せたのに殺さない。ちょっと完璧過ぎるような気がする。おっと、 ただ一つ、ルネ(彩乃かなみ)の幼い恋心に対する扱いはあまりうまく ないようだ(笑)。
大鳥れい/マルグリット
名前があまりにもそのものなのには思わず笑ってしまう(マルグリット・ ゴーティエだったっけ?)。元高級娼婦にはどうしても見えないけど、 心が身体を表わすということならこれでもよいか。娼婦になっても心の 美しさだけは失わずに生きて来た強さがにじみ出ている演技である。歌も 見事で、3重唱のシーンでは歌の弱い2人をうまく支えている。ただ、 裏声を多用した台詞はちょっと性格を弱く作り過ぎのような感じで、あまり いただけない。
匠ひびき/カール
まさに謹厳実直なドイツ貴族・軍人そのもの。しかし、フリオに影響を 受けて自分を変えて行こうとする柔軟さもあるし、心に秘めた感情を 押し殺そうとするときの眼光の鋭さには思わずハッとさせられる。  貴族としての誇りの高さは、フリオにタンゴの教えを請う時にも 「これは命令だ」という台詞に表われている。あまりにも似合っている ので微笑ましくも感じてしまうシーンだ。
伊織直加/ジャン
シスターコンプレックスの性格をうまく演じている。が、「Endless Love」の第2幕はマザコンの役であり、似通った役を当てるのは作家の 配慮不足だと思う。ジゴロとしてのタンゴ・ノアールでの歌・踊りは かっこよく決めている。
春野寿美礼/マイク
フリオの画家仲間のリーダー的存在。ソロの歌も多いが、伸びのある 高めの音が役にあっているようだ。
渚あき/ミシア
タンゴ・アルゼンチーノの女主人でピエール(星原美沙緒)の愛人と いう役どころ。第1場のオークションでの登場から目を惹く美しさで 輝いている。星原と共に芝居を支える役と言えるが、うまく演じている。
他の注目どころ
やはりルネを演じた彩乃かなみでしょうか。 フリオに恋している少女をかわいらしく演じていたと思います。一つ、 残念なのは沢樹くるみがほとんど1場面だけと言っていいほどの役だった ことですね。

「ザ・レビュー'99」まじめ編

宙組は2ヶ月前に1回しか観てないので細部の差異はほとんど分から ない m(__)m。が、宙組とほとんど同じ作品とは思えないほど花組の カラーが出ていて、楽しめる作品になっていると思う。

思うに、レビューの出来において出演者が果たす役割の割合が私が 思っていたより高いのではないか。確かに、男役トップと二番手の 歌唱力では宙組に譲るが、それ以外の点では花組に作品が合っている のか、それとも他に原因があるのか。花組は若手男役が充実しているし、 若手娘役も月組や星組ほどではないが層の薄い宙組より充実している 点も「スターを見せる」レビューにおいて大きな要因になると思う。

第一場の大階段から舞台手前まで4列にずらりと並ぶ光景は視覚的に とても華やか。続く第二場は踊れる男役・娘役を揃えていて小気味が よい。そして、第二章のザ・ロケットは楓沙樹を中心にそえ、また 鈴懸三由岐が途中で見事なソロを見せている。宙組の時には今一つ 浮いていたシーンである第三章のデビュタントは、若手の着実なダンス 力を見せ、また絵莉千晶をはじめとする娘役の歌唱力の層の厚さ(何しろ 百花、舞風、沢樹の3名をダンサーに割り当てているのだから)がよく わかる。この章の愛華、大鳥の水色の衣装はちょっと安っぽく見える。 第四章のタイタニック(^^ゞは、「ムーンライトセレナーデ」等の名曲を 使いとても華やかでゴージャスな雰囲気をかもし出していて圧巻である。 愛華、大鳥の船上のデュエットダンスは宙組と違ってとても大人っぽい 雰囲気だが、これは大鳥のカラーによるものが大きいだろう。

そして一番の注目シーン「夢人」は、愛華の顔の一つである少年ぽい 魅力がうまく調和している。フラミンゴは男役が2人入っていはいるが スピードのある風変わりな振付を娘役がよく踊っている。また、第十七場 の春野の男役の音域だがやわらかでやさしい歌声、第十九場の伊織の のびのある歌声、水の中性的なダンスも印象に残る。夢人のラストは 宙組同様圧巻である。

どこのシーンか忘れてしまったが、匠の英語の歌は発音も悪く、感情が あまりこめられないのか歌いにくそうで、聞けたものではなかった(芝居の 歌と同一人物だとは思えないくらい)。歌詞が日本語のパートになると 調子がよくなるので、英語の歌はあまり歌わない方がいいんじゃないかな。  第二十一場の男役のダンスは匠を中心として踊れる人が揃っているので 見ていてとても気持ちがよかった。

エトワールは初の彩乃かなみ。堂々とした歌いっぷりで声もきれい。

やはり宝塚は芝居とショーの二本立てだよなと思ったのでした。


「タンゴ・アルゼンチーノ」ミーハー編

なんと言っても注目はみほこちゃん(彩乃かなみ)演じるルネですね。 第5場ではタモさん(愛華みれ)相手にキスをせがむところなど、思春期の 多感な少女をうまく演じていて、とてもかわいいです。(*^^*) それを見て 内心はムッとしながらも自分に愛が向けられるのを待っている(^^ゞマイク (春野寿美礼)はけなげというか…。

としこちゃん(鈴懸三由岐)はたまおちゃん(楓沙樹)演じるロシア人の セルゲイとカップルになっているイルマという役です。登場していきなり くるくる回ってくれます。が、この振付、ザ・ロケットとほとんど同じで、 何考えてんでしょ>振付家。初日からしばらくは、としこちゃんはザ・ロ ケットと違う振りになるように試行錯誤している途中なので、ミスがあって もどうか見逃してやってください。m(__)m

幽霊船班の若手娘役は他には、ももちゃん(百花沙里)、まーちゃん (舞風りら)、ふーちゃん(ふづき美世)、ゆうこちゃん(彩風蘭)と 娘役ファンには堪えられない見事な面子です。(*^^*)

タンゴ・ノアール(中森明菜の歌じゃないんだからもう…(^^ゞ)は 出番が少ない (;_;) 沢樹くるみちゃんの見せ場ですが、うーん、なんて もったいない使い方なんだろう (-_-;)。また、直ちゃん(伊織直加)が 女をとっかえひっかえしながら歌っていく場面でもありますが、この中では 歌花由美ちゃんの表情がとても色っぽくて好きだったりします。(^^ゞ

男役では、やっぱり、ガウチョ姿のタモさんのほれぼれするような 登場シーンの勇姿、そしてマルグリットの過去を知った時のチャーリー (匠ひびき)の冷たい視線が印象的。一度だけ下手の最前列で観る機会が あったのですが、チャーリーの目線がずーっとこちらに来ていて(芝居だと あまり目線を振らないので)、どうしようかと思ったこともありました。 こちらから目線をそらすわけにもいかないし…(^^ゞ。


「ザ・レビュー'99」ミーハー編

某友人(男性です)と一緒に下手最前列に座るという幸運が 一度ありまして、ただでさえ楽しいショーをさらに満喫することができまし た。(^^)

幕開けからずらりと並んだギャルソンとレ・ガールス。しかし下手に いる私たちの目線はWトリオの下手側の沢樹くるみちゃんとみほこちゃん (彩乃かなみ)に向かっていました(笑)。あまり左だけ見るのもなんなので 申し訳程度に真ん中も見ていたのですが、その様子がおかしかったのか 舞台上の某生徒さんにも笑われてしまうほどです。このシーンは、上手の Wトリオにいる夢路ほのかさんとゆうこちゃん(彩風蘭)も見たいので 今度は上手側に座りたいものです。ゆうこちゃんは腰から足のラインが とてもきれいですね。今回は芝居もショーもなかなかいいところに登用 されていてうれしいです。Wトリオにいるってことは歌もうまいのかな?  第2場B、としこちゃん(鈴懸三由岐)は白い衣装で大階段を上手から 2番目で降りて来て、たまおちゃん(楓沙樹)と組んで踊ります。第3場 でも上手側にいます。

ザ・ロケットでは、としこちゃんが何人かの中でダンスのソロパートを 踊っています。ピルエットって言うんでしたっけ? 片足だけでくるくる 回る振付で、場内から拍手もいただいています。背はあまり高い方では ないのですが、身体の切れが違うので目立ちますね。ちなみに登場は 上手から3組目の後ろから2番目。ラインダンスになったときはやや上手 にいます。確か絵莉千晶ちゃんが隣りだったかな。ロケットの最後には 上手の端っこに移動しています。みほこちゃんはラインダンスの時には 上手端から2番目だったと思います。

デビュタントでは絵莉千晶ちゃんのソロがあります。ソロを聞くのは 久しぶりですね(わたし自身は「失われた楽園」以来でした)。こういう 風に使ってくれるとうれしいです。

タイタニック。としこちゃんは黒っぽい衣装。男役、娘役、男女と 分かれて大人数で踊るので迫力です。最後に銀橋に出て乾杯するのも 宙組版と同じですが、としこちゃんは銀橋の真ん中近いところの下手側 です。トップコンビは次の場面の準備でいないとはいえ、こんなに銀橋の 真ん中にいるのは初めてかもしれない。

「夢人」はまずフラミンゴでとしこちゃんは登場。当然ながら花組の バレエの踊れる若手ダンサーを集めてますが、その中になぜか入って います(もう若手とは言えないんだけど…(^^ゞ)。鳥かごの中の鳥を 見ている時のキョトンとした表情や踊っている時の笑顔がとてもかわいい です。かなり体力使うはずなんだけど、最後のポーズのところでも 肩で息している人もいる中で、息が上がっているようには見えないのは うまいからなのかな?

後半は下手花道から2番目で登場。途中3組になったときに上手の手前で たまおちゃん(だっけ?)とペアになって踊ります。その後はやや下手寄り の2列目くらいのところにいました。

第21場の男役の群舞のかっこよさには思わずほれぼれ。中央の チャーリーやゆみこちゃん(彩吹真央)はもちろん、下手側にはオサ (春野寿美礼)、水がいるし、奥の方にははっぱちゃん(真丘奈央)も いてどこを見ればいいのかわからず、結局きょろきょろと目線をさまよわ せてしまいました(^^ゞ。

パレードではとしこちゃんはWトリオ上手側の後ろに隠れるように立って います。姿を見にくいのがちょっと残念。

初エトワールのみほこちゃん。とてもきれいな声です。上手の花道に います。一番端っこで向きを変えるだけですが、初の銀橋でもあります。 おめでとう。

ちょうどみほこちゃんの反対側、銀橋の下手端にももちゃん(百花沙里) がいますのでこちらも注目。

パレードでは、生徒さんと目線を合わせて遊んでしまいました(^^ゞ。

Wトリオの下手側の娘役は仙堂花歩ちゃんとふーちゃん(ふづき美世)で、 花歩ちゃんはいつもニコニコしているタイプなのですが、ふーちゃんは 目線が合うと条件反射でニコーッと笑うタイプで、しかも、笑顔が マシュマロのようにとってもかわいかったりします。なので、何度か ふーちゃんと目線を合わせて、その反応で楽しめました(笑)。

客席をあまり見ないタイプの生徒さんの場合、最前列だと目線が上を 通過していって気が付かないという悲劇(笑)もあるのですね。(^^ゞ