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星組・大劇場公演

宝塚大劇場 1996/5/10(金)-6/17(月)
東京宝塚劇場 1996/8/3-29

ミュージカル・ロマン「二人だけが悪」

作・演出 正塚 晴彦

ショー「パッション・ブルー」

作・演出 三木 章雄

出演 麻路さき、稔幸、紫吹淳、白城あやか、ほか

参照: さらに 詳しい説明(www.hankyu.co.jpの Web ページ)があります。


宝塚大劇場公演の感想

(文責:森貞雅博)

観劇日
6月1日(土)第1部 15:01〜16:40、第2部 17:11〜18:06
 座席 2階10列24番(下手)
6月2日(日)第1部 15:01〜16:38、第2部 17:10〜18:07
 座席 1階6列83番(上手)

「二人だけが悪」

正塚晴彦氏の作品はすごいと聞いていたので初めての私は楽しみに していました。が、正直なところ期待外れだったというのが結論です。

暗い照明、盆が回る。。。レ・ミゼラブルなどで見慣れた演出ですが、 「全員に照明が当たらなくてはいけない」という「すみれコード」には 引っ掛かるかもしれません。いわゆる宝塚的な作品ではない、ということは 当たっています。視覚的にはとても美しい作品ですね。ただ、盆が回ると シュルシュル音がする東京宝塚劇場ではどうなることやら。。。

また、トップスターがほとんど出ずっぱりで、登場人物が少なく、 2番手男役でさえ13分ほどしか舞台の上に立っていないという点でも 宝塚的ではないうえに、作品の出来の観点から見てもこれはまずいと 思います。

なぜなら、主人公のジェイの人生に焦点があたりすぎて、相手役の アリシア、KGBスパイのアレクセイ、アルゼンチンの人々が完全に ぼけてしまっているからです。また、歌の苦手な麻路さきに多くの曲を 歌わせているのも座付き作家としては失敗でしょう。

さらに、ナレーションの多用が芝居の雰囲気をブチこわしています。 ナレーションはどんなにうまく使っても生で行なわない限り芝居の 連続性を断ち切ります。この芝居では前半で特に主人公の心の中の 描写に使われているのですが、耳障りです。また、最後のほうでアリシア のその後の描写にも手紙を読むという形で使われていますが、これもまた アリシアの人生を描くことを拒否しているようにも思えてくるのです。

「パッション・ブルー」

冒頭のパッション・ブルー。派手な原色のブレザーで男役の主立った ところが出てくるのですが、配色がいまいちなのと、歌唱力不足が目立ちます。 あやちゃん(白城あやか)は相変わらずあでやかで色っぽいです。 *^_^*

ラメント・ジターノ。リカちゃん(紫吹淳)はしぶいですね。 朋舞花のかっこいいこと。

ラムール・ブルー。ニンフの踊りはバレエが用いられています(振付: 名倉加代子)。

ブルー・ロンド。森真珠提供の真珠が衣装に使われているほか、高そうな ネックレスも登場。これまたあやちゃんがいいです。

中詰めのトッレ・ペンデンテ。こりゃファミコンのロールプレイング ゲームの世界ですね。一番つまらなかったです。ノルさん(稔幸)の衣装は Action! からの使い回しかな?(役作りは使い回しです)

パッション。ブンちゃん(絵麻緒ゆう)もこれだけ歌えるようになった んだと感心しました。

ブルー・ホライゾン。不協和音的な娘役の「クック、クック」の コーラスが面白い世界を創ってますね。こういうコーラスの使い方はとても 好きです。ビートルズの Tomorrow Never Knows に通じる雰囲気が あるかもしれません。たくさんの人物が舞台を歌いながら駆け回り、 何を描こうとしているのかは理解できなかったのですが、面白いですね。