[ミュージカルホームへ] [1996] [宝塚]


月組 バウ・プレイ「銀ちゃんの恋」 −つかこうへい作「鎌田行進曲」より−

原作 つかこうへい
潤色・演出 石田昌也

キャスト
倉岡銀四郎 久世星佳
小夏 風花舞
ヤス 汐風幸
ヤスの母 邦なつき
プロデューサー 葵美哉
監督 真山葉瑠
朋子 逢原せりか
樹里咲穂

バウホール 1996/6/1 - 15
日本青年館 1996/8/7-15

「鎌田行進曲」が宝塚の舞台にのるとは思っていませんでした。昨年のTCA スペシャルでは一場面だけパロってましたけど(笑)。階段落ちは やるんでしょうか?果たして本家と比べてどうなるのか?見物です。

参照: さらに 詳しい説明(www.hankyu.co.jpの Web ページ)があります。

出演
邦なつき、葵美哉、旭麻里、久世星佳、真山葉瑠、卯城薫、松波美鶴、木南あづさ、 汐風幸、一紗まひろ、美郷真也、花丘美幸、山吹紗世、逢原せりか、風花舞、 樹里咲穂、高翔みず希、まほろば遊、城華阿月、華路ゆうき、大空祐飛、 大鷹つばさ、檀れい、南城ひかり、あゆら華央、華景みさき、大和悠河


バウホール公演の感想

(文責:森貞雅博)

観劇日:6月2日(日)
第1幕 11:02〜12:18、第2幕 12:44〜13:41
席 ぬ−25(10列目上手寄り)

運良く友会の抽選に当たりまして、初めてのバウホール体験をすることができま した。^_^

細部では気になる点もないわけではないですが、さきに結論を。。。

とーーっても面白かったです。東京に来たらチケットの取れる限り 通います!

以前テレビで映画版「蒲田行進曲」を見たことがありますが細部の内容を忘れて いるのでほとんど白紙の状態でした。昨年、舞台版の蒲田行進曲完結編「銀ちゃ んが逝く」は本家本元つかさんの演出をシアターXで観たことはありますが、つ かさんの場合は役者に応じて演出どころか脚本まで変わっていくので、本家はあ まり参考にはなりませんね。イメージ的にはかなり映画版に近いような気がしま す(暇なときにビデオを借りて確認しなきゃ ^^;

わたしは石田先生がパンフに書いている「アングラ、テント芝居」も観るし、宝 塚も観る観客で、「宝塚がつかこうへいやってどこがいけないの?」と考える人 間ですから、ほとんど違和感なく受け入れることができました。なぜ、ほとんど かって言いますと、時代設定が現代に移されているので「今時こんな映画バカは いないよな」と感じたことと、やはり映画のイメージにかなり近いということが あるからなのです。

銀四郎(久世星佳)
 第1幕では子分を従え自己中心的なスター役者という性格はとてもよく伝わっ てきたのですが、男としての色気・いやらしさがもう少し欲しいところです。 カラッと乾いた感じの豪放さだけではなく、男の汗のイメージ見せて欲しい、 ってのは注文のし過ぎかな?^^; 弱気をみせるシーンはとてもいい味出してます。

小夏(風花舞)
 松坂慶子の演技に似ているのは演出家の責任だから置いとくとして。^^; キャバレーでのダンスはとても色っぽいし、けなげだし、かわいい。*^^* 一言で言って、、、ホレてしまいました。^^;
ギャングを銃で撃ちまくるシーンはとても楽しそうにやっていてチャーミングです。 第2幕ではわたしは小夏に感情移入してしまって涙ボロボロでした。

ヤス(汐風幸)
 ここまでやるのかってくらい奮闘してました。ソロの歌声もとても伸びていた し、第2幕では完全に主役ですから。

しかし、階段落ちをああやるとは思いませんでしたね (これは観てのお楽しみ)。ちなみに舞台版(つか) ではセットのない平舞台を舞台奥から手前にスローモーションで転がってくる ようにしていました。つか版に比べ本物に似せようとした分、かえってリアリティ がなくなっていると思います。この点はセットで実現しようとする宝塚と観客の 想像力に重きを置く小劇場の違いなのでしょうか?

他に演出で気が付いたことは、、、
2幕冒頭は「卒業」のパロディはなかなか面白かったです。これに連続したシー ンで、池田屋の階段が絞首台への13階段になるのは「熱海殺人事件」(これ も、つかさんの作品)のパロディですね。。。恐れ入りました。^^;

ただ第2幕は細切れシーンが多いのが気になりました。細切れシーンの連続で ラストへの緊迫感を出すのはセットの入れ替えのない小劇場的な手法ですから、 ちょっと無理だと思うのです。