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劇団四季に対する提言

(四季のページに書いた文章を独立させたものです。 書いた日付はおそらく2000年8月頃でしょう)

日本においてミュージカルを定着させるのに大きな意義を果たしている 劇団四季の全国公演(ニッセイこどもミュージカル公演を含め)、 そして東京だけではなく、札幌、名古屋、大阪、福岡に劇団四季専用劇場を 持ち、また、地方の劇場での3ヶ月ロングラン公演を行うなど、 いつでもぶらりと気軽な気分でミュージカルを観に行けるという環境を 作っている点は非常にすばらしい。キャッツ、オペラ座の怪人、美女と野獣と いった大作を日本のどこかでしかも一つの劇団が公演を続けていくのは 驚異的でもある。

またミュージカルのみならずストレートプレイの公演も行なっている 点には大いに注目したい。かつてこのページでもストレートプレイが一時期 まったく観られなくなり、海外大物ミュージカルの輸入作品ばかりで新作が 全くないことに苦言を呈したことがありましたが、それも今は昔の物語と なってしまいました :-)。

さらに劇団四季は公式ウェブページを立ち上げ、作品や俳優の紹介は もちろんのこと、四季の会会員以外にも広くチケットの販路を広げている。 もっとも今後は WWW にアクセスできない人達のことも考えてしかるべき でしょう(いわゆるディジタル格差のこと)。

さて、今後、劇団四季はどのような道を歩んでいくべきでしょうか。 というわけで箇条書で提言をしてみます。

浅利慶太氏の後継演出家の養成
今の四季は浅利慶太氏の才能、人脈で対外的にかなりの部分を助けられて いると言えるでしょう。俳優、振付に関しては外部に分かるような養成をして いるのですが、作・演出部門については透明性に欠ける部分が多い。 演出としてスタッフにクレジットされるような人材を育てていくべきでしょう。
加藤敬二氏が「オーヴァー・ザ・センチュリー」の単独演出としてようやく 出てきましたがまだまだですね。
楽団の組織化
弦楽器は日本においても層が厚いのですが、それ以外の楽器や指揮者の 人材は乏しいと言ってよいでしょう。四季のミュージカルを観ていて 何度か椅子からずりおちかけるほど音の外れた管楽器を聞いたことのある人は 多いと思います。外から雇って楽団を構成する場合、その質を維持するのは 大変ですし限度もあります。宝塚歌劇団のように常任の楽団を組織すべき時が 来ているのではないでしょうか。
四季劇場での楽団はかなり水準が上がってきてはいますが、まだ管楽器に ついてはその成果が現れてきていないようです。
世界をめざせるオリジナルミュージカルを
四季の上演するオリジナルミュージカルは、ファミリーミュージカルを 含め、観客を日本人として想定している作品が多いように思えます。 もちろん作品のテーマは普遍的なものなのですが、作品の作りが日本的な ものが多い、つまりそのままでは例えばブロードウェイに持っていくことなど とても考えられないものが大半であると思います。